なんか大台に乗ったらしいですよ。
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決算や新生活準備の時期ですので、販売に力が入っていますが、そのお金はどこからくるの?今回は携帯電話の料金に関する歴史の話を少しします。
東京でセキュリティの仕事をしている小江戸民のブログ
なんか大台に乗ったらしいですよ。
決算や新生活準備の時期ですので、販売に力が入っていますが、そのお金はどこからくるの?今回は携帯電話の料金に関する歴史の話を少しします。
これまでの話を簡単に少し。2000年前後から、携帯電話が0円や1円等で売られるようになりました。もちろんそういう金額では端末は作れない(仕入れられない)ので、キャリア各社はその端末の損失分を月々の料金から回収することにしていました。初期費用が安くて維持費用が高いパターンです。そのほかいくつかの携帯電話ビジネスの課題があり、それらの解決に向けて総務省の「モバイルビジネス研究会」が2007年(平成19年)に最終報告書ををまとめ、成果として「モバイルビジネス活性化プラン」を策定しました。これの見出しを引用します。
また、これらのフォローアップと進捗状況の検証を行うために「モバイルビジネス活性化プラン評価会議」を開催していました。会議は2008年(平成20年)の3回の会議で終わっています。キャリア・メーカーからの出席者はシャープ長谷川氏とNTTドコモ加藤氏のみとなっていました。(この後の動向を追えていません)
最初の「新料金プランの導入に向けた検討促進」が料金に関するところです。通信料と端末代の分離を分かりやすくするために販売奨励金制度が見直され、さらに割賦販売制度が導入されました。これが「実質0円」「実質無料」という表現の元ですね。
「SIMロック解除に向けた検討」では、「SIMロックについては原則解除する方向で検討を進める」とあります。義務化への検討を行い、2010年(平成22年)に「SIMロック解除に関するガイドライン」を公表しました。
もう1つ、現状の説明するための話題がMNPです。2003年(平成15年)に「携帯電話の番号ポータビリティの在り方に関する研究会」が開催され、2006年から開始されました。
携帯電話市場が飽和し、これ以上新規での契約者数増加が見込めなくなり、キャリア各社はMNPで他のキャリアからユーザーを奪う形に方向転換しました。また、端末の割賦購入によるユーザーの月々の負担を抑えるため、毎月の利用料金を割引くサービス(「月々サポート」など)が導入されました。割引額は端末ごとに異なり、さらに新規契約とMNPでも異なる事があります。一般にはMNPのほうが新規や機種変更より割引額を多く、MNPでの転入増進を図っていることがうかがえます。これにより、毎月の料金がユニバーサルサービス料(現在3円)のみという契約も可能であった時期がありました。
MNP転出されるキャリアも黙ってMNP予約番号を発行しているありません。基本や通信プランの割引の条件に2年間等の契約期間および解約月を設け、その時期を外れた解約は解除手数料(違約金)を取るという策を取りました。 多くの契約では9975円ですが、MNPによる転入ユーザにはさらに21000円を追加する等の流出防止策をとってきました。
あまり詳しくないため、販売店(ケータイショップ)の話が出てこなかったのですが、販売店はケータイが売れる、つまり回線契約によりキャリアから販売奨励金(インセンティブ)が入ります。単純には1回線でいくらというものから、契約時に付けたオプションの数によるものまであるそうです。契約者へお得感を出すために、インセンティブを元に契約者へキャッシュバックを行います。販売店間は競争ですから、キャッシュバックの額は増えていきます。キャッシュバックの額によっては、MNP元の契約解除手数料は相殺されるため、キャッシュバックが多いキャリアと端末を選べば、低価格で携帯電話を持つことができます。差引でプラスになる事もありました。
これの結果が、最初のリンク先の話です。
端末の購入なしにMNPによる渡り歩きを行うために、MNVOの通話可能なプランが注目されています。たとえば日本通信のSIMはAmazonでも買えますね:日本通信 bモバイル スマホ電話SIM フリーData マイクロSIM [AM-SDL-FDM]
携帯料金のシミュレーションについては以下のサイトが新規契約やMNPなど、各種パターンをわかりやすく紹介しているのでおすすめです。
ただ、日本通信からのMNPを受け付けないショップも見られました(これはこれで別の問題がありそうです)。
キャッシュバックの元はキャリアの販売奨励金です。キャリアの販売奨励金の元は契約者からの売り上げです。今までの説明の通り、同一サービスではMNPではない長期契約者のほうが支払額が多くなる傾向にあります。そのため、メインの携帯電話番号とメールアドレスを持って同じキャリアでサービスを使い続けたいという人が一番損をする形になっています。
また現在、キャリアのメールアドレスやコンテンツはMNPによる移動でも使えなくなります。この制限と、MNPで乗り移る方が得になる点を踏まえると、メールやコンテンツ等のキャリアサービスは使えません。キャリアに依存しない代替サービスは多いため困る事はありませんが、キャリアとしてはキャリアサービスの契約離れはARPU低下を招きます。キャリアの収益維持のためにはこの低下を抑える必要があります。昨年問題となった、契約時のオプション強制加入はオプション数による販売奨励金の増額による販売店間の競争激化が招いた結果です。解約手続きのわかりにくさも同様です。
「モバイルビジネス研究会」とMNP開始から7年ほど経ちました。総務省と消費者庁は現在のモバイルビジネスのあり方について、経済の活性化や利用者利益の向上のために会合を開く時期にあるのではないでしょうか。
(勢いで一気に書いたので腕が痛い)
記事を書いた直後に総務省が動きました。
上記記事のメインは、他社が行っている固定回線と携帯電話回線のセット割引をNTTでも行えるような規制緩和の動きですが、最後の段落がケータイに関するところです。
26日の初会合では、横並びで高止まりする携帯3社のスマホ通信料に「多様な料金メニューが必要だ」という意見も出た。現金を渡したり端末を無償で提供したりする顧客獲得を問題視する意見も多く、スマホの料金や販売手法に新たな規制がかかる可能性もある。
今後どうなるかは先の日経新聞にある有識者検討会に委ねられます。通常、検討会の構成員と招集された人および各会合での各々の発言は公開されますので見守っていきましょう。個人的には、契約期間の縛りと割引に関してはセットで提供されるべきですし、同様のサービスを享受しているユーザーがほぼ同様の負担になる方向に進むと期待しています。割引なしで2年縛りは割に合わないですし、そもそも契約期間のないプランを実質的に選べない点もあります。ユーザーにとって悪い方向へ向かえば、キャリアは電話のためのフィーチャーフォンのみ、あとは適当なMVNOとSIMフリースマートフォンの組み合わせが普及して、キャリアの首はさらに締められるでしょう。
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